配信におすすめのオーディオインターフェース

オーディオインターフェースとは何か

オーディオインターフェースは、パソコンやiPad・iPhoneにマイクや楽器などをつなぐための機材で、主に音楽制作やライブ配信、Podcast収録(ネットラジオ)で使われます。

近年、ライブ配信や音楽制作などがパソコンのソフトを使って手軽にできるようになりました。そのためにマイクや楽器の音をパソコンに取り込む必要があるわけですが、これらの機器から出力される音声信号はアナログ信号と言い、デジタル信号を操るパソコンに直接接続することができません。

オーディオインターフェースは、このアナログとデジタルという異なる信号を相互に変換してくれる機材なのです。

オーディオインターフェースを介して取り込んだ音声は、パソコン上で編集したり、ネット配信したり、アナログ信号に戻して、スピーカーやヘッドフォンから出力したりすることができます。

オーディオインターフェースとミキサーの違い

オーディオインターフェースはよくミキサーと混同されることがありますが、それぞれ違うもので、オーディオインターフェースはアナログ音源をデジタル音源に変換してPCに取り込むものです。ミキサーは複数の音源をひとつの音源としてまとめるものです。そのため、入出力はアナログのみとなり、ミキサーだけではPCに楽器・マイクをつなげることははできません。
オーディオインターフェースとミキサーを併用することで、複数の音源をひとまとめにしてPCに取り込むことは可能になります。また、ミキサーにオーディオインターフェースの機能も備わっているという一体型のモデルもあります。

オーディオインターフェースを使う理由

1.音質の改善

オーディオインターフェースの一番のメリットともいえるのが、音質の改善です。楽器の音や自分の声をPC本体の入力端子(所謂イヤフォンジャック)やiPhoneのマイクなどで取り込むと音質が悪く、ノイズが多く入ってしまったり、不要な雑音を拾ってしまったりします。オーディオインターフェースを使えば、これらの問題が解消できるので、音楽制作はもちろん、クリアな音でのライブ配信やライブ会議も可能です。

2.レイテンシー(音声遅延)の対策

オーディオインターフェースはアナログ音をデジタル音に変換する際のレイテンシー(遅れ)を緩和してくれます。楽器を演奏する際にレイテンシーがあると実際に弾いているタイミングとずれてしまいますが、オーディオインターフェースを使えば、弾いたのと同時に音が出るので、音楽制作、録音の際には必須となっています。また、デジタル音への変換がスムーズに行われることで、ノイズの軽減やPCのフリーズなどのトラブルの予防にもなります。

3.入出力数

一般的なパソコンの音声端子は、イヤフォンジャックのみというものも多いです。

音声を聞くためにイヤフォンやスピーカーを繋げば、入力は音質の低い内蔵マイクでしかできなくなり、当然それ以外の音響機器の接続はできなくなります。

オーディオインターフェースは入出力がそれぞれ分かれています。例えば高音質なマイクを入力して、ヘッドフォンで自分の声を確認しながら、パソコンで収録というようなことができるようになります。

入力数が複数のオーディオインターフェースを使用すれば、マイクを2本接続して対談を行ったり、マイクと楽器を接続して、弾き語りを収録したりすることができます。

オーディオインターフェースに接続できるもの

オーディオインターフェースは入力側と出力側で色々なものとPCを接続できます。
ここでは接続できる機器と、その接続方法について解説いたします。
まず、入力側の機器では、マイク、楽器(エレキギター・ベース、キーボードなど)、ミキサー、エフェクター、CDプレイヤーなどがあります。
出力側の機器では、アンプ、スピーカー、ミキサー・DJミキサー、エフェクター、レコーダー、ヘッドフォンなどがあります。

1.PCやiPad・iPhoneとの接続

まずはPCとオーディオインターフェースの接続ですが、USB、Firewire、Thunderboltを使用します。iPad・iPhoneの接続にはLightningケーブルが使われます。

2.マイクとの接続

オーディオインターフェースのマイクの接続端子には、XLR端子(キャノン端子)とコンボ端子の二つがあります。XLR端子(キャノン端子)とは、もっとも一般的なマイクの接続端子です。コンボ端子はXLR接続に加えて、ギターやキーボードのシールドを接続するためのフォーン端子にも対応しているより便利なものです。最近では、マイクとシールドどちらにも対応しているコンボ端子を採用しているオーディオインターフェースが主流となっています。

マイクにはダイナミックマイクとコンデンサーマイクの二種類があります。

  • ダイナミックマイク:電源不要 / 比較的頑丈 / 感度が低い
  • コンデンサーマイク:電源必要 / とても繊細 / 感度が高い

コンデンサーマイクを接続するためにはファンタム(48V)電源と言う機構が付いているオーディオインターフェースが必要になります。

3.楽器の接続

ギター・ベースとの接続はシールド呼ばれるTSフォーンケーブルをオーディオインターフェースのフォーン端子、コンボ端子に差し込むことで行います。また、ギター・ベースはインピーダンス(抵抗)が高いためにハイ・インピーダンスに対応している方の端子に入力してください。ハイ・インピーダンスに対応している端子は「Hi-Z」というスイッチがついているので、その方に接続してスイッチをオンにすれば大丈夫です。

4.オーディオインターフェースからの出力

PCの音源をオーディオインターフェースから出力する場合には、オーディオインターフェースの出力端子と機器をつなぎます。出力端子には、OUTPUT、MAIN OUTなどの表記がされているのでそれを使用してください。使用できるケーブルは、XLR (キャノン)、TRSフォーン、TSフォーンなど機器によって様々です。

オーディオインターフェースで使われる音響用語を解説

XLR (キャノン)


主にマイク接続に使用するケーブルです。バランス接続という方式で接続されています。低ノイズで抜けにくく、長い距離にも対応できます。

TRSフォーン

標準プラグとも呼ばれるケーブルで、3極のもの指します。3つの導体は、2つの黒いラインで区切られています。ステレオヘッドフォンなどに使われているものです。

TSフォーン

モノラルの標準プラグで、2極のものを指します。黒い1本のラインで区切られています。ギターやベースのシールドなどに使われています。

コンボ端子


XLR (キャノン)のプラグと、フォーンプラグのどちらの使える端子です。最近のオーディオインターフェースではコンボ端子のものが多くなっています。

RCAピン


一般的なオーディオ機器で使われている赤と白の端子です。赤が右、白が左となっています。

ドライバー

オーディオインターフェースが自身のPCで使えるように付属のCDまたはメーカーHPでまずインストールするものです。ASIO、WDM、CoreAudioの3種類があります。

サンプリングレート(Hz)・ビットレート(Bit)

Hz / Bitで表記される音質を表す単位です。

マイクや楽器から出たアナログ信号を、オーディオインターフェースを介してデジタル信号に変換するときに、信号を細かく分割します。その際にどれだけ細分化するかを決めているのがサンプリングレート、細分化されたひとつひとつのデジタル信号にどれだけの情報量を与えるかを決めているのがビットレートです。
信号を細かくすればするほど、与える情報量が多ければ多いほど音質は良くなりますので、サンプリングレート・ビットレートが高ければ高いほど音質が良いということになります。

最近の一般的なスペックのオーディオインターフェースは、最大192kHz/24bitという仕様が多くなっています。ただしこれはあくまでも最大値であり、数値が高すぎると処理速度も遅くなるため、MAXだからといって一概に良いとも言い切れません。参考にCDは44.1kHz/16bitとなっています。

ファンタム電源

コンデンサーマイクを接続するときに入れる電源です。

ハイ・インピーダンス(HI-Z)

交流信号における電気抵抗が高いことをいいます。機器の接続には出力端子よりも入力端子の方がインピーダンスを高くしないといけない(ロー出しハイ受け)ので、エレキギター・エレキベースを直接接続する際にはハイ・インピーダンス(HI-Z)に対応していないといけません。

ループバック

配信で重宝されるのがループバック機能です。

これは、オーディオインターフェースをUSB接続している端末の音をインプットにループさせる機能です。

「つまり、どういうこと?」となるかもしれません。
例えばPCの音をインプットにループさせることができると、マイクで喋った音声と、PCで流すBGMを配信に乗せることが可能になります。

最近は大体1万円以上のモデルにはついている機能なので、チェックしてみましょう。

DSP(デジタル・シグナル・プロセッサ)

DSPはエフェクト(リバーブなど音声に効果をつけること)などのデジタル処理をするためのプロセッサです。
考え方はパソコンで言うところのCPUに近いですが、CPUは汎用性が高くあらゆる処理を行うことができますが、DSPは信号の処理に最適化されています。

おすすめのオーディオインターフェース

おすすめのオーディオインターフェースを価格別でご紹介します。

~ 10,000円

Steinberg UR12

1984年に設立されたドイツのソフトウェアメーカー「Steinberg」のオーディオインターフェースです。
4bit/192kHzのハイレゾオーディオ環境で、高品位マイクプリアンプ「D-Pre」とエレキギター・ベース入力用ハイ・インピーダンス(HI-Z)端子を1基ずつ搭載していますストリーミング配信に便利なループバック機能があり、iPad 、iPhoneの接続にも対応しています。

10,000 ~ 20,000円

Steinberg UR22mkII

最大 24bit/192kHz で、コンボジャックを2基搭載しています。コンデンサーマイクによるボーカル録音、ハイ・インピーダンス(HI-Z)にも対応しているのでギターやベースなどの録音が可能です。MIDI端子も搭載されています。

Roland Rubix22

初心者におすすめなのがRolandモデルになります。
コンボジャックを2基搭載していて、コンデンサーマイクによるボーカル録音、ギターやベースなどの録音が可能です。24bit/192kHz に対応しています。ループバック機能がないので、ライブ配信向けではありませんが、低価格でより高音質なオーディオインターフェースが欲しい方におすすめです。

Focusrite Scarlett Solo

XLR (キャノン)端子とフォーン端子が1基ずつ付いているシンプルなモデルです。よりクリアなサウンドを再生するAIR機能を搭載していて、USB Type-Cにも対応しています。一人で使うのにとてもおすすめのオーディオインターフェースです。オリジナル「Focusrite/Novation」ロゴステッカーが付属しています。

20,000円 ~Roland Rubix24

24bit/192kHz対応、2in/4outのUSBオーディオインターフェースです。録音時も安心の視認性の高いレベル・インジケーターとコンプレッサー/リミッターを搭載しています。

Steinberg UR22C

最大32bit/192kHz録音再生が可能なオーディオインターフェースです。USB Type-C端子を装備するだけでなく、USB 3.0 (USB 3.1 Gen 1)端子を搭載しており、 SuperSpeedモードに対応しています。音楽制作、ライブ配信どちらにもおすすめです。

MOTU M2

MOTU M2は数十万円クラスのオーディオインターフェースで使用されるESS Sabre32 Ultra DACコンバーターテクノロジーを採用しています。
48Vファンタムパワーを個別に設定できる-129 dBu EINを実現したクリーンなプリアンプを2基装備していてコンデンサーマイクを接続できます。ループバック機能も付いているので、ライブ配信にもおすすめです。