オフィスの内装工事と音響工事の費用感

オフィスを新たに構える時や移転、リフォームする際に内装工事や音響工事をすることになりますが、予算の関係もあり、費用がどれくらいかかるものなのか気になる方も多いのではないでしょうか?この記事では、実際の工事の流れや費用の相場、費用を抑えるためのポイントについて解説しています。内装・音響工事を検討している方の参考になれば幸いです。  

1.オフィスの内装工事とは何か  

内装工事とは、一般的に既に出来上がっている建物内の設備や装飾や仕上げの工事を行うことを指します。具体的には、クロス工事や塗装工事、建具工事などが該当し、店舗の場合には電気やガスなどの設備工事も含み「内装工事」と呼ぶ場合もあります。

基本的に坪単価で計算することが一般的です。そしてどんな建材を使うのか?!その種類によっても大きく値段は変化してきます。

2.音響工事とは何か     

音響工事とは、一般的に既に出来上がっている建物内の音響設備工事を行うことを指します。具体的には、スピーカー、マイクなどの機材の設置、防音カーテンの設置や壁へ吸音材を入れたりなどの防音工事、またこれらを管理するPCの配線工事などが該当します。店舗の場合だと店内のBGMに使うスピーカーやサブウーファーの配置、大型店舗であれば放送機械類、映像機械等の設置やそれを管理するスウィッチャーやミキサー等の配備を行い、お客様にとって居心地の良い音響映像環境を整えます。

基本的には、設置する機材の種類、実現したい事柄によって値段は変化してきます。

3.オフィスの工事費用は何で変化するのか、どのぐらいか 坪単価はいくらぐらい?!

前述した通り、内装工事は坪単価が通常の計算方法で、音響工事は導入する機材や工事内容で変化します。

オフィスの場合、内装工事の費用の相場は、1坪あたり10万円~30万円程度、音響工事は導入する機材によって変化しますが、1部屋をライブ配信常備の施設にする場合でおおよそ30万ぐらいとされます。

さらに内装工事のみ物件の立地や規模、工事内容によって費用に幅があります。オフィスの物件には「居抜き」「スケルトン」という種類がありますが、その種類によっても工事に掛かる費用は大きく異なります。以下それぞれの内装工事内容別に解説し違いをみていきましょう。

3-1:居抜き物件

居抜き物件とは、前の借主が施工した設備や内装が残されている物件のことです。空調設備や建具、照明器具の状態が良ければ再利用することができるため、内装工事の費用を抑えることが可能です。デザインの自由度は低くなりますが、時間や費用をかけずにオフィスを利用したい人に向いているといえます。居抜き物件の費用の相場は1坪あたり10万円~20万円程度が目安となります。

 

3-2:スケルトン物件

スケルトン物件は原状回復されて建物の躯体に内装や設備が施されていない状態の物件です。スケルトン物件の場合は、空調設備や照明、床や壁などの工事が必要になるため、時間も費用もかかります。しかし、デザインの自由度が高く設備や内装にこだわりたい方に向いている物件といえます。費用の相場は、1坪あたり10万円~30万円程度となります。

内装工事には、様々な種類があります。具体的な工事内容を知っておくことも費用を抑えるポイントになります。

3-3:仮設工事費

内装工事を行うためには、足場を設置したり養生したりしなければいけません。完成すれば撤去されるものですが、安全に工事を行うためには欠かせないものです。それらの費用を、仮設工事費といいます。足場を組む費用に掛かる人件費なども含まれます。居抜き物件や天井が低いため足場の必要が無い等の理由で、大掛かりな工事が不要の場合は、仮設工事費は低く抑えられます。

3-4:軽鉄工事費

軽量鉄骨で天井や壁に骨組みを設置し、石膏ボードを貼るのが軽鉄工事費です。軽天工事とも呼ばれています。天井や壁の下地を作るもので、見栄えだけでなく防音や内装空間の耐久性や安全性にも関わる工事です。防音や遮音機能の高い部屋を作る場合には、特殊な素材を使うため費用が高くなります。

3-5:内装仕上げ工事

壁紙を貼ったり天井や床を仕上げたりする仕上げ工事は、内装仕上げ工事とも呼ばれています。素材やデザインだけでなく塗装や左官などの工法を選択することも可能で、仕上げ工事はオフィスの雰囲気に大きく関わるものです。内装を仕上げる工法や素材のグレードなどによって、費用が変わってきます。

3-6:パーテーション工事

パーテーション工事は間仕切り壁を設置するための工事です。内装に固定されるものや可動式のものがあり、部屋の用途によって選べます。居抜き物件の間仕切りをそのまま使用する場合には費用はかかりません。

3-7:建具工事

ドアや窓の工事である建具工事では、主にスチールやアルミなどの金属製のものと木製の建具があり、使われる素材によってオフィスの印象が変わります。使用する素材や機能によって費用が違ってきます。ただし、居抜き物件の建具を再利用するのであれば、追加工事は不要になります。

3-8:電気工事

コンセントの配置や照明器具の位置、音響機材の配線位置は、オフィスでは重要視したいポイントです。電気工事は内装・音響工事には欠かせないものです。一旦設置すると後から変更することが難しいので、自社に適したコンセントの数や位置を決めておくことが求められます。設置する照明器具や、スピーカー、ウーファー、ミキサー等の利用台数、設置数、配線工事の有無によって費用は変動します。

3-9:空調設備工事・水道設備工事

職場の環境を大きく左右するのが空調設備です。空調設備工事は、夏の暑さ対策や冬の暖房など、快適な環境を整えるためにも重要な工事です。居抜き物件に残されていた空調設備が使える場合には、空調設備工事は省略することができます。トイレやキッチンといった水回りの工事である水道設備工事も、居抜き物件に残されたものを使用する場合には必要ありません。

3-10:消防設備工事

消防設備や火災報知器の設置などに関わる消防設備工事は、法律や条例に則って行う必要があります。居抜き物件であれば、基本的には消防設備は設置してありますが、定期的に交換が必要になるので気を付けましょう。看板やサインの設置工事も音響工事に含まれます。居抜き物件で残されていたものを利用しない場合は撤去費用が発生します。

4.オフィス内装・音響工事が完了するまでの流れ   

内装工事、音響工事を検討するときには、どんなオフィスにするか、何をこのオフィスで実施するのかを社内で予め決めておきましょう。会議室や休憩スペースの数や広さ、各部屋を固定して仕切るのか可動式にするのかなど、自分たちの仕事が捗るような空間にするために必要なことをピックアップしてみましょう。社内の意見がまとまったら、施工業者を決めます。施工事例などを参考にしながら、希望の条件を実現してくれる業者を選ぶとよいでしょう。

ただ気を付けてもらいたいのが、内装工事と音響工事は業者が違うのがほとんどです。内装には内装のプロ、音響には音響のプロがいます。音響や映像機材は、設置後に変更するにはとっても手間になるものがあります。内装工事の段階で音響工事業者も入れることができると配線や電源などの機材をとてもキレイに片づけられるのでおすすめいたします。

業者を決定したら、設計に進みます。賃貸物件の場合は、退去時の原状回復工事を見据えた設計も求められます。

内装工事も音響工事も設計で決めた設備やデザイン、レイアウトに基づいて、工事が始まります。工事の規模や内容によって期間は異なりますが、工事の途中でも打ち合わせや現場を確認して、計画通りに進んでいるかをチェックしましょう。工事が終盤になり、家具やパソコンなど必要なものを搬入します。業者の立会いのもと最終的なチェックを行って、問題がなければ引き渡しになります。

5.オフィス内装工事費の節約術   

内装・音響工事の費用を抑えたい時には、業者を契約する際の見積もりを1社ではなく複数の業者に依頼することをおすすめします。複数の業者を比較することで、適正な見積もり内容かどうかを判断することができます。また、業者によって強みが違うことも多く、希望に合った条件で施工してもらえる業者が見つかりやすくなります。

居抜き物件を利用することは、内装工事の費用を節約するには有効でしょう。残されていた照明器具や間仕切りなどを再利用すれば、その分の費用は抑えることが可能です。また、工事期間も短くなることが期待できます。ただし、大規模なレイアウトの変更を行うと、居抜き物件であっても費用が高くなることを覚えておきましょう。一方、スケルトン物件の場合では、天井などの仕上げをせずにコンクリートの打ちっぱなしの状態にするなどで、スケルトン物件の特徴を活かしたデザインにすれば費用を抑えることが可能です。

内装工事に使われる素材のグレードを下げると、工事費用の節約に繋がります。費用を抑えたい時には、自分たちがこだわりたい部分以外の壁紙や床材などのグレードを下げることを検討してみましょう。また、設備や家具の発注や調達を業者に依頼すると、手数料が発生する場合があります。社内の業務量が増えますが、自分たちで家具などを調達することも費用を抑えるには効果的です。

6.音響工事費の節約術  

音響設備はその配置によってかなり変化してしまうため、その道のプロになるべく依頼したほうが良いと思います。その中でもできる限りの節約をとなると以下の点を考えると良いと思います。

6-1中古機器を使用する

音響機器は高価なものが多いため、中古品を使用することでコストを抑えることができます。ただし、中古品を選ぶ際には品質や性能に注意が必要です。またその工事業者のほうで準備がない場合が多数なのでご自分で用意することになります。

6-2比較する

複数の工事会社に見積もりを依頼し、料金やサービス内容を比較検討することで、より費用対効果の高い工事会社を選ぶことができます。ここについては内装工事と同じです。

6-3補助金や助成金を活用する

地方自治体や国が行う補助金や助成金を活用することで、費用を抑えることができる場合があります。ただし、条件や対象範囲については確認が必要です。

6-4自分でできる部分はDIYで行う

一部の作業は自分で行える場合があります。DIYできる部分は自分で行い、工事会社に依頼する部分を最小限に抑えることで費用を抑えることができます。

7.快適なオフィスにするためにも工事の流れや費用の相場をおさえておこう!          

オフィスは、適切設備の導入や配置、機能的なレイアウトなど、スムーズに業務をこなすためにも快適な空間にすることが求められます。ただし、希望するすべての条件を反映させると予算内に収まらない可能性もあります。自社のオフィスに必要なポイントを明確にし、内装や音響工事の流れや費用の内訳を把握したうえで工事に臨みましょう。