いろいろなスピーカーの種類   

スピーカーにはいろいろな種類があり、スピーカーを変えるだけで、同じ音楽を再生しても受ける印象が変わってきます。施設や店舗のように広域に音楽を流す場合には、ニーズに合わせたスピーカー選びをした方が良いでしょう。こちらでは、スピーカーの仕組みやアンプとの違い、スピーカーの種類などについて紹介していきます。             

1.スピーカーとは何か、どうやって音を出しているのか            

スピーカーは、オーディオシステムの一部で、音の電気信号を人の耳に聴こえるように、空気の振動に変換させる役割を果たす音響装置です。

まず、スピーカーに内蔵されているボイスコイルに電気信号が流れます。ボイスコイルは電気抵抗率が低いアルミニウムや銅などが使われているので電気を通しやすく、電気信号を受けてコイル両脇にあるマグネットが反応し、振動を発生させます。マグネットの磁界の強さによって音質が変わってきますので、スピーカーの性能に直結する大切な部分と言えるでしょう。

このコイルの振動は、空気を振動させるコーン紙に伝わって、空気を震わせることで音を発生させます。コーン紙は形状や素材が様々で、得意とする周波数や耐久性などによって最適なものが変わってきます。   

2.スピーカーとアンプの違い    

先述したように、スピーカーは電気信号を人の耳に聴こえる音に変換させる役割を持っています。

一方、アンプは端末から受け取る微弱な電気信号を増幅し、スピーカーに十分な音量を発生させるための装置です。屋内の広い空間などで良い音を大音量で伝えるためには、音楽などを再生する端末機器だけでは十分な音量を確保できません。そのため、アンプで信号を増幅させ、豊かな音量をスピーカーから出せるようにしているのです。

このように、スピーカーとアンプは本来の役割が全く異なっていますが、近年では省スペースで使えるアンプを内蔵したスピーカーが多く流通しているため、スピーカー、アンプ共に音を出す機能を持っていると誤認されることが増えています。             

3.スピーカーの種類      

スピーカーは、設置台数やユニットの種類及び数などによっていくつかの種類に分けられます。また、広い範囲で音が認識できるようにするのではなく、狭い範囲でのみ聞くことができるような特殊な機能を持つスピーカーも少なくありません。

例えば、超音波スピーカーは特定の狭い範囲だけに限定して音を届けることができますし、シーリングスピーカーは、天井にスピーカーを設置しているため音が頭上から降ってくるように聞こえます。アンプを内蔵していないパッシブ スピーカーは、アンプと組み合わせることでより高音質な音楽を楽しむことができます。

以下に、一般的なスピーカーの種類についても見ていきましょう。

3-1.設置台数

スピーカーの設置台数によって、種類が分かれます。

ステレオスピーカーは左右に1本ずつスピーカーを設置する形をとります。スペースをあまりとらずに、立体音像を再現出来る点が魅力です。なお、ステレオは立体音響という意味で、スピーカーが1つしかないものはモノラルと言います。

2.1chサラウンドの「2」はスピーカー、「.1」は低音域用のスピーカーであるウーファーの数を指しており、スピーカーが2個、ウーファーが1個のセットということになります。ステレオスピーカーに加えて低音も響く、重厚感のある音が出るスピーカーセットとなります。

5.1chサラウンドは、前方に2個、後方に2個、センターに1個のスピーカーを配し、さらにウーファーが1個ある計6個組のスピーカーです。2.1chサラウンドよりもさらに臨場感のある音になります。

3-2.スピーカーユニット別

アンプから届く電気信号を音に変換するユニットの個数によってもスピーカーの種類が異なり、ユニットはwayという単位で数えます。

フルレンジは1つのユニットで全ての音域をカバーするタイプで、一か所からクリアな音が聞こえるタイプです。

一方、2wayは高音域をカバーするツイーターと低音域を担当するウーファーという2つのスピーカーユニットで構成されており、フルレンジよりも音域が広く、高い音質が期待できます。

3wayは2wayに加えて中音域をカバーするスコーカーも搭載していますので、さらに音質が向上したタイプです。

3-3.ユニット

ユニットの構造でも、スピーカーの種類が分かれています。

コーンは円錐形の振動板を持つユニットで、シンプルなつくりながら一般的なスピーカーでよく使われているタイプです。同じコーン型でも、素材や形状によって音域や音質が変わってきます。

ドームは半球型の振動板を持ち、広範囲に音を響き渡らせることが可能です。布類にフェノール樹脂含浸して作られたソフトドームは柔らかい音質に、金属で作られたハードドームはメリハリのある音になります。

ホーンはラッパの形をしたユニットで、ドームなどで発せられた音を増強し、音圧を高めて音が前に出るように響くため、ツイーターやスコーカーで使用されるタイプです。

リボンは超高音域に特化しており、薄く伸ばしたリボン状の金属製の振動板をマグネットで挟んで振動させることで音を発生させています。ツイーターに使われるなど、ハイレゾ音源の再生にぴったりです。

3-4.エンクロージャー

エンクロージャーはスピーカーユニットを納めるキャビネットのことで、スピーカーユニットの前面と背面から出る音をそれぞれ分離させ、低音を響かせる働きを持っています。

密閉型というのはスピーカーユニットを完全に密閉したキャビネットに入れたタイプで、背面からの音を遮断している点が大きな特徴です。ボリュームのある音を出すためにはスピーカーの駆動電力を必要としますが、クリアで伸びのある音を出すことが可能です。

一方、バスレフ型は前面、もしくは背面に空気孔を開けて低音を増強する構造となっています。小型のエンクロージャーでも低音を響かせることができます。

その他にも、一枚の平面板にスピーカーユニットを取り付けて軽い振動でも音が出せる平面バッフルやバスレフ型を発展させたパッシブラジエーター型、中高音域を遮断し主にサブウーファーとして利用するASW型などがあります。

用途に合ったスピーカー選びを             

スピーカーと一口に言ってもその形状や音響特性など、特徴は様々です。音楽の再現性、音域の再生能力、臨場感、設置場所など、どのような場所にどんな目的で設置するのかによって、おすすめのスピーカーは変わってきます。まずはそれぞれの種類ごとのスピーカーの特徴を把握した上で、用途に合ったものを探すようにしましょう。わからない時はプロに相談しましょう。