分配器・コンバーターとは?|映像システム構築の重要なピース

映像システムというとモニターディスプレイやプロジェクターなどで組まれるシステムが真っ先に思い浮かびますが、ソースから再生機器までの長距離伝送や、複数の異なる再生機器に映像を送るなどの複雑な映像システムを成立させるためには、分配器・コンバーターという影の立役者が必要です。
一見地味な機材ですが、映像システム構築には欠かせないアイテムです。

今回はそんな分配器・コンバーターをクローズアップしたいと思います。

分配器とは

分配器とはその名の通り、入力した映像を複数に分配する機材です。

たとえば、大会議室の左右にモニターディスプレイを配置して、スライドを流す場合、モニター一台につきパソコンを一台用意するのは、手間ですし非効率です。
そこで、パソコンの映像を一旦分配器に入力し、分配器から2つの出力をすれば、1台のパソコンで2台のモニターに同じスライドを表示することができます。

補償機能

分配器には、補償機能が付いているモデルが多数あります。

映像信号は伝送する距離が長くなるほど減衰します。この減衰した信号を補填するのが補償機能です。
製品のHPや仕様書に、この補償機能によって伝送可能な距離が記載されているので、確認してみましょう。

分配器の選び方

分配器を選ぶときに注目するポイントはシンプルです。

  • 分配できる数(出力の数)
  • 映像端子の種類
  • 対応解像度

例えば、「会議室後方のパソコンから左右前方の2台にモニターに映像を出力する場合」を考えてみましょう。

この場合、まずは使用するモニターの入力端子を確認します。
モニターの入力がHDMIであれば、「HDMIを2分配できる分配器」を入手すればよいということになります。

また、分配器の対応解像度を確認しておくことも大切です。
見せたい映像素材の解像度を確認し、その解像度に対応した分配器を選ぶ必要があります。(※分配器だけでなくモニターや映像の出力設定なども併せて確認する必要があります)

HDMI分配の注意点『HDCP』

HDCPとは[High-bandwidth Digital Content Protection system]の略称で、デジタルコンテンツが不正にコピーされるのを防止する著作権保護技術のひとつです。著作権保護されている映像コンテンツを分配する場合、「HDCP対応」の記載がある分配器を使用しないと、映像が正しく出力されません。

※1 HDMI以外にDVI、DisplayPortでのやりとりに使用されます。
※2 分配器だけでなく、モニターなど信号のやり取りをする機器全てがHDCP対応である必要があります。

コンバーターとは

コンバーターは、異なる映像信号を変換してやりとりするための機材です。

映像信号は伝送する距離が長くなればなるほど減衰します。
例えば、一般的にも普及しているHDMIは通常だと5m程度しか引くことができません。
そこで、長距離伝送に適した規格に変換できるコンバーターを機材間に接続することで、長距離伝送を可能にします。

コンバーターの機能

信号の変換

コンバーターの基本機能です。

機種によってデジタル信号をアナログ信号に変換できたり、伝送距離の短い信号をより長距離伝送可能な信号に変換できたりします。

スケーラー機能

近年の映像システム構築においては、多様な映像再生メディアでの出力を想定しておく必要があります。ディスプレイモニター、プロジェクター、スマホ、タブレットなどです。
それぞれの機器で最適な解像度で表示するために調整してくれるのがスケーラー機能です。

エンベデット/ディエンベデット

映像信号に音声信号を乗せて伝送することができる技術です。
音声信号を乗せて送ることをエンベデット、映像信号に乗ってやってきた音声を再び取り出すことをエンベデットと言います。

リクロッカー

コンバーターは映像信号を長距離伝送する際のいわば中継地点になります。
なので、減衰してしまった映像信号を補強することで、再生機器まで安定して送り届けることができます。これがリクロッカーです。

リクロッカーよりもさらに長距離伝送できるものをリピーターと呼びます。

コンバーターの選び方

コンバーターを選ぶときに注意するポイントは

  • 入力端子の種類
  • 出力端子の種類
  • 対応解像度

となります。

コンバーターは映像信号の「変換」が仕事なので、どの信号(入力信号)をどの信号(出力信号)に変換するかをよく確認しなくてはなりません。

例えば先ほどの会議室のケース、後方から前方までの距離が100mあるような大会議室だとしたら、HDMIでは到底届きません。
そこで、HDMIをより長距離伝送が可能なSDIという信号に変換できるコンバーターを挟むことで100mの伝送を可能にすることができます。

このとき、HDMI→SDIに変換するコンバーターと、モニターに入力するためにSDI→HDMIに戻すコンバーターが必要になります。
このようにコンバーターはペアで使用することもあるので注意しましょう。

おすすめの分配器・コンバーター

ELECOM VSP-HDP12BK

https://www.elecom.co.jp/products/VSP-HDP12BK.html

タイプHDMI分配器
入出力1入力・2出力
対応解像度最大4096×2160 60Hz
HDCP対応
価格¥26,180
※公式HP参照

 

人気PC・ネットワーク機器メーカー、エレコム社のHDMI分配器です。

高性能・コンパクト・高コスパでECでのサイトでの売り上げも好調なモデルです。
PCやゲームの映像を分配するのに最適です。

2分配、4分配、8分配のモデルがあるうえ、カスケード接続(分配した先にさらに分配器を接続する)することで、分配数を拡張することができます。

Blackmagic Design Mini Converter SDI to HDMI 6G / HDMI to SDI 6G

https://www.blackmagicdesign.com/jp/products/miniconverters/models

タイプSDI→HDMI / HDMI→SDIコンバーター
入出力【SDI to HDMI】SDI入力×1・HDMI出力×1・SDIループ出力×1
【HDMI to SDI】HDMI入力×1・SDI出力×1
対応解像度最大2160p30(4K DCI 25p対応)
HDCP非対応
価格【SDI to HDMI】¥28,980
【HDMI to SDI】¥21,980
※公式HP参照

映画、放送業界向けの高品質な映像機器を多数発売しているBlackmagic Designのコンバーターです。

「6G-SDIビデオソースから、SD、HD、Ultra HDビデオフォーマットのHDMIへの変換に必要なすべての機能を搭載しています。」と謳うほど高性能なコンバーターです。

アナログオーディオエンベデットにも対応しています。

Roland VC-1-SC

https://proav.roland.com/jp/products/vc-1-sc/features/

タイプスキャンコンバーター
入出力SDI入力×1、HDMI入力×1、RGB/コンポーネント入力×1、コンポジット入力×1
SDI出力×1、HDMI出力×1
対応解像度最大1080p 60fps
HDCP対応
価格¥165,000
※公式HP参照

プロユースの映像・音響機器メーカーとして有名なRolandのコンバーター。

HDMI、SDIの変換に加え、アナログ映像信号にも対応したマルチフォーマットコンバーターです。
オーディオエンベデット、スケーラー、フレームシンクロナイザーを搭載している万能な一台ですが、その分高価格になっています。

まとめ

今回は分配器・コンバーターについて解説しました。
液晶や分かりやすい操作子もない一見地味な機材ですが、より本格的な映像システム構築には欠かせない機材のひとつです。適切に取り込んでハイクオリティな映像システムを構築しましょう!

AZAのシステムソリューションでは、お客様のご要望に応じて、必要な分配器やコンバーターのご提案もいたします。

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