クロマキー合成とは?|グリーンバックの役割とおすすめ4選
目次
クロマキー合成とは
クロマキー合成とは、特定の色を指定して透過することで、他の映像素材と合成することができる映像編集技法です。
グリーンバックを背景に撮影した映像を映像編集ソフトで読み込み、グリーン部分を透過する処理を施します。この作業を「キーイング」と呼びます。
人物の肌色と補色の関係にあるグリーンやブルーが背景色としてよく使われます。
クロマキー合成を活用することで、実際にロケに行けない場所で撮影しているような演出や、テレビ番組のような演出を可能にします。
グリーンバックの役割
グリーンバックは透過処理をキレイにムラなく行うために必要なアイテムです。
グリーンバックを置かずに撮影した場合、被写体の背景には影や壁の模様など複数の色を含んだものが映りこみます。そのような映像素材で無理やり透過しようとすると、うまく透過されなかったり、透過したくない部分が透過されてしまったりします。
背景の色を均一に保つためにグリーンバックが欠かせないというわけです。
なぜ緑なのか?
なぜ緑色の背景を使用するかというと、緑が人物の肌色と補色の関係にあるからです。
分かりやすく言い換えると、「人物の肌色と最も被りにくい色だから」ということです。
したがって、厳密にいえば緑色でなくても透過は可能ですが、人物をキレイに切り抜くのであればグリーンバックはマストと言えるでしょう。
同じ理由でブルーバックを使う場合もあります。
クロマキー合成のやり方
1.グリーンバックで被写体を撮影する
まずは映像素材を撮影します。
グリーンバッグを背景に被写体を撮影します。
全身を映す場合は、床にもグリーンのパンチカーペットを引いておく必要があります。
このとき、撮影したい人物の衣装や髪色に緑が含まれていると、あとで透過処理をする際に背景と一緒に透過されてしまうので注意が必要です。また、グリーンバックにシワや影があるとキレイに合成できなくなってしまうので、シワは伸ばし、照明を調整して緑色に濃淡が出ないようにします。
2.撮影した素材の緑色の部分を透過する。
映像編集ソフトに撮影した素材を読み込みます。(画像はAdobe After Effects)
キーイングのエフェクト(名称は使うソフトによって異なります)を適用し、緑部分を透過するように設定します。
境界線などを微調整するときれいに被写体だけを切り抜くことができます。
3. 背景画像を重ね合わせる
次に背景にしたい動画や画像を読み込み、先ほど透過した素材を重ねます。
透過した部分から背景画像が見え、人物がその背景の場所にいるような演出ができます。
クロマキー合成が可能なソフトウェアはたくさんあります。
Adobe Premiere Pro、Adobe After Effects、Final Cut Proなどの動画編集ソフト、vMix、OBS Studioなどの配信用ソフトなど映像編集系のソフトであれば大抵可能です。
グリーンバックの選び方
サイズ
どのような用途で使用するかによって、必要なグリーンバックのサイズは全く変わります。
例えばWEB会議のような、動きが少なく、被写体の上半身だけ移ればいいようなケースでは、1m×1mのごく小さなグリーンバックで済みます。
逆に映画やテレビ番組の現場では、スタジオの壁を覆うような巨大なグリーンバックが必要になるでしょう。
グリーンバックを入手する際は、あらかじめどのようなシーンで使用するのか、どのような画角で撮りたいかを明確にしておく必要があります。
材質
グリーンバックは一般的には布製で、その中でもポリエステル製が最もポピュラーです。
しわになりにくいのでキレイなキーイングを実現すると共に、水洗いも可能なので管理もしやすいとされています。
その他コットンや不織布のものもあります。
また、紙製のグリーンバックも存在します。
購入やレンタルが安価なのが魅力的ですが、しわになりやすく耐久性も非常に低いため、使用できる条件は限られてきます。
本格的な合成且つ保管して何度も使用することを想定しているならば、布製を選んでおくことをおすすめします。
設置方式
スタンド式
1本または2本の支柱で地面と平行にポールを設置し、グリーンバックを吊り下げるタイプです。
設置・撤去が簡単で取り回しが楽なうえ、グリーンバックを足元まで垂らすことができるので、全身の撮影にも対応できます。
屏風式
スタンド式と同じく自立が可能なタイプのグリーンバックです。
折りたたむことができるので、スタンド式に比べてグリーン面の面積を調節できるのが魅力です。
グリーンバックの素材は、布製のものや紙でできたものがあります。
ロールアップ式
ロールアップ式は、土台部分のロール状に収納されているグリーンバックを引き出して立てるタイプです。
裏側には格子状のパーツが付いており、ワンタッチで設置することができます。
取り回しのしやすさは一番ですが、土台部分は一定の高さがあるので、全身の画角を撮影するのには向いていません。
壁掛け式
天井から吊り下げて使用するタイプのグリーンバックです。
使用しない時は上部のパーツにロール状に収納することができます。
このタイプは定期的に使用するスタジオなどに常設して使うのが一般的で、運搬するのには向いていません。
おすすめのグリーンバック
elgato GREEN SCREEN
https://www.elgato.com/ja/green-screen
設置方式 | ロールアップ式 |
サイズ | 148 × 180 cm |
ドイツ発のコンテンツクリエイター向け配信用機材ブランド「elgato」のグリーンバックです。
グリーンバックを製造しているメーカーとして最も知名度の高い企業のひとつで、数多くのYouTuberやネット配信者が愛用しています。
サイズとしては人ひとりがしっかりと収まるサイズです。
下部の収納部から引き出すだけでロックされる剛性の高い自立機構が魅力で、これを選んでおけばまず間違いないと言えるモデルです。
elgato GREEN SCREEN XL
https://www.elgato.com/ja/green-screen-xl
設置方式 | ロールアップ式 |
サイズ | 200 × 182 cm |
elgato GREEN SCREENのワイド版です。
横幅が2mに広がった分、2人の対談形式の撮影にも対応できるサイズです。
ただし自立機構はワンタッチではなく、支柱の長さを調整する必要があります。
とはいえこのサイズのグリーンバックとしては非常に取り回しや収納性に優れており、信頼できるモデルです。
elgato GREEN SCREEN MT
https://www.elgato.com/ja/green-screen-mt
設置方式 | 壁掛式 |
サイズ | 200 × 180 cm |
同じくelgato製の壁掛式グリーンバックです。
サイズはGREEN SCREEN XLとほぼ同じです。
収納部をビスで壁に設置するか、天井からフックで吊り下げるかの2種類の設置方法があります。
収納時はスクリーンを下に少し引っ張って離せば巻き取られるような設計になっています。
Hemmotop 背景スタンド
設置方式 | スタンド式 |
サイズ | 68×75 / 90×200 / 150×200 / 200×300 / 280×300 |
オンライン販売専門の撮影機器ブランド「Hemmtop」。
プロからアマチュアまで幅広く使える品質の商品を安価に提供しています。
Hemmtopのグリーンバックはスタンド式で、地面と水平に設置されたポールにクリップで布を固定して使用します。そのためグリーンバックに限らず、ホワイトやブラックの背景を設置することもできます。
サイズ展開も豊富で、用途に合わせて最適なサイズのグリーンバックを選ぶことができます。
価格もelgatoに比べると安価です。
まとめ
今回はクロマキー合成とは何か、おすすめのグリーンバックについて解説しました。
グリーンバックは、比較的簡単に映像表現の幅を広げることができるアイテムです。
導入費用コストも安く、クロマキー合成の手順について詳しく説明しているメディアがたくさんあるので、是非挑戦してみてください!
AZAのAVシステムソリューションでは、グリーンバックを完備した撮影スタジオのトータルコーディネートをご提供しております。
実際に現場を下見させていただき、最適なグリーンバックやその他の周辺機器の選定をいたします。
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