サウンドマスキングとは何か?オフィスで導入したい音響技術

オフィスでは社員同士の会話やパソコンの入力音などが聞こえるため、作業に集中できないという方が少なくありません。しかし防音工事はコストが高いこともあり、なかなか音対策に踏み切れない企業も多いのではないでしょうか。音に関する問題を解決したいときは、サウンドマスキングの導入がおすすめです。
今回は、サウンドマスキングについて紹介します。

サウンドマスキングとは           

サウンドマスキングとは、マスキング音と呼ばれる特殊なサウンドを流して、会話や音を聞こえにくくするシステムのことです。天井などにスピーカーを設置し、環境に合うマスキング音を設定して音を流します。人間は心地良い音を聞こえてくると、不快な音が聞こえにくくなる性質があります。人間が好む自然な周波数の音を流して集中力を阻害する音を聞こえにくくするのが、サウンドマスキングの基本的な仕組みです。サウンドマスキングで使用される音はヒーリング音楽や空調音など、製品によってさまざまな種類があります。

吸音、遮音、マスキングの違い

防音の三原則は吸音、遮音、マスキングの3つです。
吸音とは壁や天井などに吸音素材を使用し、音漏れや外からの音の侵入を防ぐことです。遮音は部屋を密閉状態にして、外部の音を遮断することです。
一方、マスキングはサウンドマスキングシステムのように、音を聞かれにくくすることを指します。サウンドマスキングはスピーカーを設置するだけなので、大掛かりな工事が必要となる吸音・遮音より導入コストを抑えることが可能です。

ノイズキャンセリングとの違い

サウンドマスキングとノイズキャンセリングは、マスキング音の性質が異なります。ノイズキャンセリングは逆位相の音波を使用することで、音を打ち消す方法です。

一方、サウンドマスキングは自然な周波数の音を使って、会話などの音を聞き取りにくい状態にします。ノイズキャンセリングとは異なり、音を消すのではなく他の音で紛らわすのが目的です。

オフィスでサウンドマスキングを活用 

たくさんの人が過ごすオフィスでは、音環境問題が数多く発生します。最近ではオフィス全体を見渡せるオープンオフィスが増えてきていますが、音の問題への配慮が必要となります。開放感のあるオープンオフィスは社員同士のコミュニケーションが活発になるというメリットがある一方で、周囲の会話が気になってしまいがちです。オフィスの音の問題を解消したい場合は、サウンドマスキングを活用しましょう。ここからは、オフィスでサウンドマスキングを活用するメリットを紹介します。

集中力がアップする

オフィスでの業務中に、会話や物音が気になり仕事に集中できないという経験はありませんか?
サウンドマスキングを活用すると周囲の音が気にならなくなるので、集中力がアップし生産性が向上するという効果が期待できます。また、人間の脳はある程度ノイズがある方が集中できるとされています。人間は無音の状態だと、集中できない性質を持っているのです。サウンドマスキングで意図的に音を流して、社員が集中しやすい空間を作ることもできます。ただし、会話や歌詞付きの歌など意味のある音だと気が取られてしまうので気をつけてください。

リラックスした状態で仕事に取り組める

人の会話やPCの稼働音などの雑音を過剰に気にして、緊張状態のまま仕事をする人も少なくありません。サウンドマスキングを使用すれば緊張状態から解放され、リラックスした雰囲気の中で仕事に取り組むことが可能です。

会議室の秘匿性を守るサウンドマスキング   

会議室は、重要な意思決定の場として使われることも多いです。クライアントが来社して機密情報が多い内容を話し合うことは珍しくありません。また、会議室で社員の相談にのる場合もあります。会議室付近を通りかかった社員に大切な会話内容が漏れてしまうと、情報漏洩につながる可能性があるので注意が必要です。会議室の防音対策として、サウンドマスキングを導入することをおすすめします。サウンドマスキングで会議室の音漏れを防げば、室内の秘匿性をしっかり守ることが可能です。

会議室の会話が通路に聞こえてしまう場合

壁で密閉された会議室でも遮音性が十分でないと、外の通路に会話が聞こえてしまう場合があります。会議室の会話の内容を聞かれたくない場合は、通路側の壁上部にサウンドマスキングのスピーカーを設置することをおすすめします。通路を通っている人にはサウンドマスキングの音がメインで聞こえるようになるので、会議室の会話は気にならなくなります。

会議室が隣り合っている場合

会議室が隣り合っている場合、隣の部屋で話し合っている内容が聞こえてしまう可能性があります。その場合は会議室と会議室の間仕切付近にスピーカーを設置して、部屋の内側に向けて音が流れるようにしましょう。会議室を利用する人に対してマスキング音を流せば、隣の会議室の会話は聞こえにくくなるはずです。      

オフィスにサウンドマスキングを設置しよう   

周囲の音が気にならなくなるサウンドマスキング。オフィスにサウンドマスキングを導入することで、集中力のアップや会議の活性化といったメリットが期待できます。会議室にサウンドマスキングを設置すれば、会議中の会話が漏れる心配もありません。オフィス環境を整える際は、サウンドマスキングの導入を検討してみてはいかがでしょうか。