【音響を完全解説】音響の効果と音響機器、そもそも音響とは何か?

音楽や効果音を使用する際に、重要となるのが「音響」です。一口に音響と言っても、文字通り「音を響かせる」という意味の他に、音響監督や音響さん(PA)など様々な専門職を指す場合があります。音響業務を外注するにあたっては、ある程度の予備知識を身に付けておくことも重要と言えるでしょう。そこで、今回は音響にまつわる基礎知識をご紹介していきます。      

1.音響とは何か?      

音響とは、学術的に「音そのもの、およびその伝わり方」などを指しますが、一般的には店舗やイベント会場などで使用する音を調整する職種を表すことが多いです。

音は「高低」「大小」「長短」「音色」など様々な要素から構成されており、複数の音が入り混じる環境ではそれぞれを正確に認識することが難しくなります。雑多に音が入り混じる環境は人間にとって不快を感じる大きな要素になるため、音響によって心地よく聞こえるように調整する必要があるのです。

物理的に発生した生音を集音してバランスを整える、あるいは予め用意しておいた音源やリアルタイムで収録した音声を会場に流すというのが音響のおおまかな仕組みとなっています。      

2.音が与える人への影響

人間が音や音楽を認識する場所は耳ではなく、脳です。音や音楽が人間の心理状況に与える影響は大きく、空間演出から医療まで幅広い分野において音響が重要なカギとなっているのは間違いないでしょう。例えば、落ち着いたクラシック音楽は自律神経に作用することでリラクゼーション効果を生み出します。アップテンポで軽快な楽曲は、脳が活性化して生産性向上に効果的です。このように、音楽が人間の心理状況に与える影響を「感情誘導効果」と呼びます。また、音楽や音は人間の行動にも影響をおよぼすことが分かっています。例えば、テンポの早い音楽は人間が歩くスピードを速くし、音が大きいと自然と大きな声を出して話すようになります。これらは「行動誘導効果」と呼ばれています。

店舗の演出としてよく用いられるものには「マスキング効果」が挙げられます。飲食店や販売店では多くの利用客が訪れ、それぞれが思い思いに会話を楽しむという光景は珍しくありません。店舗にBGMがかけられているとこうした話し声を聞こえにくくする作用が働き、利用客は周りの会話が気にならなくなります。逆にBGMがかかっていなければ、周りの話し声が気になってしまい、あまり長居したいとは思わないでしょう。これはあくまで一例ですが、音が人へ与える影響は様々です。音響自体にはこうした人への直接的・間接的な効果はありませんが、音や音楽が持つ効果を適切に作用させるには音響の知識が必要になってきます。音響はとても大事と言えるでしょう。   

3.音響機器の種類      

現場で音響を整えるためのシステムを構築するには、多くの音響機器が必要になります。

ミキサー

音響機器と言われてまず思い浮かべるのが、卓上に何本ものスライダー(フェーダーといいます)が付いた機材という人は多いでしょう。これは一般的に「ミキサー」と呼ばれる音響機器であり、様々な音声入力を集約してバランスを整えることが主な役割です。ミキサーにも「アナログミキサー」「デジタルミキサー」「パワードミキサー」などいくつかの種類があり、業者が組み上げるシステムによって使用するタイプが異なります。

ミキサーの詳細情報:https://avsystemsolution.com/column/digitalmixer/

マイク

マイク

ミキサーに音を入力するためにはマイクで集音するのが一般的です。マイクは、大きく分けて耐久性に優れた「ダイナミックマイク」と繊細な音の収録に向いている「コンデンサーマイク」の2種類があります。基本的にイベント会場などで使用されるのはダイナミックマイクです。また、ミキサーへの入力には一般的なオーディオプレイヤーを使用することも出来ます。

ワイヤレスマイクの詳細情報:https://avsystemsolution.com/column/wirelessmic/

アンプ

マイクやプレイヤーから入力された音声信号は、そのままだとレベルが小さ過ぎるため十分な音量を確保出来ません。そのため、入力された音声信号は一度「パワーアンプ」と呼ばれる音響機器を通すのが基本です。パワーアンプは微弱な音声信号を増幅させるための機材であり、ミキサーなど他の音響機器に内蔵されていることもあります。また、パワーアンプの前の段階で音質を調整するための「プリアンプ」が設けられるケースもありますので覚えておきましょう。

イコライザー・コンプレッサー

音響システムには、必要に応じて「イコライザー」や「コンプレッサー」といった機材が組み込まれる場合もあります。イコライザーとは音声信号の周波数帯域を調整するための機材で、出過ぎた低域や高域を抑える用途で使われるケースが多いです。場合によっては、特定の周波数を少し持ち上げて音質に味付けすることもあります。コンプレッサーは設定した音量以上の音を圧縮する機材です。突発的な大音量を防いだり、小さい音と大きい音の差を縮めて聞きやすくするといった目的で使用されます。

スピーカー

これらの機材を通して出来上がった音声信号は、最終的にスピーカーから音として出力されます。スピーカーは設置方法・出力の大きさ・パワーアンプ内蔵か否かなど様々な種類があるため、音響システムを組む現場に応じて業者が適切なものを選定するのが基本です。

また、機材を接続するケーブルとは異なる専用のスピーカーケーブルを使用する必要があります。

4.音響さん(PA)や音響監督のお仕事内容           

音響関連の職種として、広く知られているのが「PA」と「音響監督」の2つです。PAは「Public Address」の頭文字を取った略称であり、現場では「音響さん」などと呼ばれることもあります。PAの仕事は主に現場で鳴る音を必要に応じて拡声し、会場に居る観客が快適に聞ける状態にすることです。基本的には、コンサートやイベントの会場で音響システムを構築して仕事にあたります。

PAは機材の扱い方や専門知識はもちろんのこと、会場の広さ・壁や床の材質・収容人数といった要素に合わせて音の響きや音質をコントロールすることが求められます。そのため、会場によってはその会場の仕様をよく理解した専属のPAを雇っていることもあります。

音響監督とは、一般的にアニメ・映画・ゲームといったメディアの音まわりを監修する職種です。出演者のキャスティング、声優や俳優の声の響き方、BGMの選定や使用タイミングなど幅広い場面で重要な役割を担っています。音が持つ心理的効果を熟知した上で、どのようにすれば効果的な演出が可能であるかを判断することが仕事です。PAとは少し方向性が異なりますが、音響に関わる専門的な知識があってこそ成立する仕事と言えます。”

音響は知識やノウハウを備えた専門家を頼ろう             

音は様々な要素が組み合わさって聞こえるため、適切に取り扱うためには専門的な知識やノウハウが求められます。響き方や音量バランスを整えるための技術的な知識や、効果的な演出を実現するためのノウハウは一朝一夕で身に付くものではありません。自社でのイベント開催や映像作品制作、オフィスや店舗での音響整備を検討する場合は迷わず専門家に相談することをおすすめします。

AZAは音響機材、映像機材のスペシャリスト集団です。ご要望に合わせた柔軟な対応ができます。お気軽にご相談願います。