オフィスの音響や映像設備設定はプロに依頼したほうがいい理由

オフィスや店舗を改修する際、音響や映像設備の設定が必要なことがあります。改修工事の会社でも施工は可能ですが、これらの設備はプロの目線や技術が求められますので、専門の会社に依頼したりするのがおすすめです。

こちらでは、音響や映像をなぜプロに依頼すべきなのか、その理由や自前で行う場合のリスクについて解説します。

1. プロに頼む理由

単純に音楽や映像を流す設備を設置するだけならば、改修工事を行っている会社に依頼したり、自社で機材を購入して設置したりすることも可能です。しかし、オフィスのように多くの人がいる場所、社外の人が来ることも多い場所では、やはり専門の会社に任せるのが安心です。

以下に、その理由として自前で用意した場合とプロが用意した場合の違い、プロに依頼しなかった場合に起きやすいトラブル例などを紹介します。

1-1 自前とプロの違い

自社で設備を購入する場合、音響・映像設備を販売している店舗から直接購入しなければなりません。とはいえ、スペックや適性を考慮しながら機材を一式揃えるのは簡単ではありません。口コミや予算で判断することが多くなりますが、評価が高いからと言って、必ずしもその設備が自社オフィスに合っているとは限りませんし、予算内の金額や条件に合った設備を購入できたとしても、コストパフォーマンスに優れている設備なのかは判断しにくいところです。

一方、設置までプロに依頼する場合には、担当者が設置場所の環境構築、配線などをきちんと確認してから設備を選び、設置します。さらに、音質や音量、周波数に至るまで最適な設定を行いますので、仕上がりの差は歴然です。また、目的に合わせて設定を調整するので安心できますし、会社によってはトラブル対応やメンテナンスなどのアフターフォローもついていますので、自前で設置するよりも満足度が高くなるでしょう。

1-2 オフィスで音響や映像を自前でやったときにおこるトラブル例

オフィスの音響や映像を自前で用意した結果、様々なトラブルが発生することがあります。

「音が出ない」という根本的なトラブルひとつとっても、機材の組み合わせの問題、配線の問題、信号の問題など原因は様々ですが、専門知識を持たない方にとっては、これらを全てクリアしたシステムを自前で構築するのは困難と言えるでしょう。音が出せたとしても、その音質はどうでしょうか?
マイクのハウリングや不快なノイズが発生していると、せっかく高額で機材を導入しても、その設備を利用して行われる会議やセミナーの質は下がってしまいます。

映像の場合では、信号系統にノイズが入ることにより、映像が乱れるトラブルが多く見られます。プロに依頼すれば、そもそもノイズが入らないように考慮して設置してもらえますが、自前で設置する場合は、映像が映ればひとまず安心してしまうことも多いのではないでしょうか。しかしその結果、重要な局面で映像が映らなくなってしまう恐れがあります。また、設置場所に設備が合わないケースも少なくありません。例えば、リラックスできる環境を目指しているにも関わらず、色が鮮やかすぎたり明るすぎたりして視界に入ってしまう、周囲とスクリーンの調和がとれておらず、映像に集中できないというトラブルも見られます。

そしてつい忘れがちなのが、電気の問題です。
業務用映像・音響機器の中には、消費電力の大きなものも少なくありません。導入する機材を動かすのに十分な電力を供給できる設備が現場にあるのか、逆に過剰な電力を供給してしまうシステムになっていないかなどをしっかりと確認する必要があります。電気のことを考慮せずに機材を扱うと、その機材の性能を発揮しきれなかったり、機材が故障したりしてしまうのです。

2. 音響・映像設備の依頼の時に押さえてほしいこと           

音響・映像設備をプロに依頼する場合、漠然とした内容では先方も最適な設備の選択や設定ができません。プロに任せるとは言え、失敗しないためにはポイントを押さえて申し込む必要があります。以下に、依頼するときに押さえておきたい点を紹介します。

2-1 知識は必要ない、設備設定の目的ややりたいことの明確化

音響や映像の設備をプロに依頼する場合、特に専門的な知識は必要ありません。依頼を受けた業者が現地の確認を行い、音響や配置、必要な設備などについて提案書を提出してきますので、依頼した側はその内容を確認し、予算や希望などを伝えるだけで済みます。専門的なスキルが求められる部分は全て任せられますので、不明な点や気になる点については質問して、希望に合った設備を選んでもらいましょう。

ただし、同じオフィスに設備を設置する場合でも、その目的や用途、やりたいことによって選ぶ設備や設定が変わってきます。話し声や作業の音が常に聞こえるオフィスや店舗でBGMとして音楽や映像を流す場合と、会議室のように静かな場所で音声や映像を流す場合、大勢の来客を迎えてライブを行う場合では、求められる音質や音量、画質などが全く異なります。当然、音響設備の種類や数、設置場所も違ってきますので、何のためにこれらの設備を取り付けたいのか、将来的にやりたいことも踏まえて明確にして、きちんと伝えておきましょう。併せて、収容人数や用途、予算などもある程度伝えておくと、希望に沿った見積書や提案書が作成されます。   

映像・音響設備の導入にかかるコストについては、こちらで詳しく解説しています↓

3. 音響のプロの仕事内容とこだわり        

音響や映像の設備設置において、プロに依頼すると自前とは全く異なるこだわりが見られます。

音響の場合、クライアントからの希望や用途をヒアリングした後、周囲の音や設置場所の防音、音響効果、空間のレイアウト、導線など多角的に分析した上で、その場所と目的に最適な音を設定しなければなりません。狭い部屋で自分だけが音楽を聴く場合とは異なり、距離や収容人数、壁や天井の反射などで、スピーカーから出る音と実際に伝わってくる音が異なってきます。このような場所によって異なってくる条件や最適な設定は、プロならではの知識やこだわりによって決まります。

なお、一般的に、高い周波数は鋭さや緊張感を感じ、低い周波数は鈍く温かい印象を受ける傾向があります。そして、聞いているつもりがなくても、この周波数を耳が拾うことにより、空間そのものの心地よさに影響を与えています。BGMとして穏やかな気持ちで音楽を聴きたいときには低い周波数を、ライブやゲーム大会のように盛り上がりを求められたときは高い周波数を設定していますし、作業の音がうるさい場所では騒音に負けずに伝わるように、広い場所ではまんべんなく聞こえやすく配慮しています。          

4. 映像のプロの仕事内容とこだわり        

映像の場合、システムの設計が音響よりもやや複雑になる傾向があります。教育現場やITを活用したオフィス、コンサートホールなどシチュエーションも様々ですので、用途に応じて効果的な設備を選ぶだけでなく、操作性にも配慮しなければなりません。

例えば、セミナーのように大勢の受講生に対して講義をする場合は、大型のプロジェクターで必要な映像をすぐに出さなければなりませんので、スピードやどの席からでも見やすい設計が求められます。加えて、席ごとにタブレットを置いたり、質疑でマイクや映像を使ったりする場合には、専用のシステムを用意する必要があります。プロに依頼すると、依頼者の希望に応じて機材デモなどを行って完成のイメージが浮かびやすくなりますし、システムの仕様だけでなく、依頼内容に合わせた整備プログラムや簡易マニュアルまで用意してもらえるのが一般的です。さらに、機材の搬入や取り付け後は説明会もありますので、初めて利用する人でも操作がしやすいでしょう。

5.音響・映像設備はプロに依頼した方が安心          

このように、音響や映像の設備はただ使えればいいというものではなく、環境や用途に応じて適切な機材や設定を選ばなければなりません。音響や映像設備はまとまった金額が必要ですが、長期的に利用するものです。個人的に楽しむのではなく、オフィスで利用することになりますので、きちんとプロの知識や技術を活かして設置しましょう。