音響のプロがおすすめするWEB会議用マイクスピーカー
目次
WEB会議とは、インターネットを通じて音声や映像を送受信し、遠隔地の人とコミュニケーションをとる方法です。
WEB会議といえば、パソコンにマイク付きのイヤホンを繋いで、パソコンの内蔵カメラでというイメージが強いかもしれませんが、実は会議用マイクという機材が、各メーカーから多数販売されています。
専用マイクを使用することで音質が向上し、会議の質も高めることができます。
今回は数あるWEB会議用マイクの中から、音響のプロの視点でオススメモデルを紹介したいと思います。
マイクスピーカーとは?
マイクスピーカーとは文字通りマイクとスピーカーが一体型となった、まさしくWEB会議に特化した音響機器です。メーカーやモデルによって名称の違いがありますが、「音声会議システム」「スピーカーフォン」などと呼ばれることもあります。
このタイプのマイクはパソコンとUSBで接続するだけでセットアップでき、操作も比較的簡単なので、初めて音響システムを導入する方にもおすすめです。
一般的なマイクスピーカーとWEB会議用マイクスピーカーの違い
Web会議では密室内でのクリアで自然な音声伝送が求められます。そのため、WEB会議用マイクスピーカーは通信の品質を向上させるための設計がなされています。これには、エコーキャンセレーションやノイズリダクションなどのテクノロジーが含まれます。
また、音の指向性を考えており、特定の方向からの音声を優先的に拾う方向性マイクが組み込まれていることがあります。これにより、部屋全体のノイズやエコーを抑制し、話者の声をクリアに伝えることができます。さらにビデオ会議プラットフォームとのシームレスな統合が考慮されています。これには、特定のビデオ通話アプリとの互換性や、ボリュームやミュートのコントロールが簡単にできる機能が含まれます。
マイクスピーカーを選ぶときにチェックすべきポイント
WEB会議において、音声の質は会議のスムーズさを大きく左右するため、クリアな音声を提供するマイクスピーカーの選定は非常に重要です。
WEB会議に最適なマイクスピーカーを選ぶときにチェックすべきポイントは以下です。
・対応人数(集音範囲)
・接続方式
・マイクの指向性
・音質向上機能
・バッテリーの連続稼働時間
それぞれについて、詳しく解説します。
対応人数(集音範囲)
マイクスピーカーを選ぶ際、まずチェックすべきポイントは「対応人数」と「集音範囲」です。
使用する場面や参加者の数によって最適なモデルが異なります。例えば、少人数のWEB会議であれば、集音範囲が限定された小型のものでも十分です。しかし、大人数グループでのWEB会議の場合は、集音範囲の広いマイクスピーカーを選ぶ必要があります。
また、会議の参加人数に合わせて接続するマイクが簡単に増やせるような仕様になっているものを選ぶと、様々な会議に柔軟に対応できます。ほとんどの場合製品のページや仕様書に記載されているので、チェックしてみてください。
接続方式
次に重要なポイントは、マイクスピーカーの接続方式です。
主にUSB接続とBluetooth接続の2種類があり、それぞれの特徴があります。
USB接続
USB接続のマイクスピーカーは、パソコンと直接接続して使用できるため、安定した音質を保つことができます。遅延が少なく、通信が途切れる心配も少ないため、デスクワークで頻繁に使う場合には特におすすめです。
Bluetooth接続
一方、Bluetooth接続はケーブルを必要とせず、スマートフォンやタブレットにも簡単に接続できるというメリットがあります。無線で自由に移動できるため、マイクスピーカーの位置を移動することが多い場合や、携帯性を重視する場合には最適です。ただし、干渉などが原因でBluetoothの接続が不安定になることもあるので、通信環境に応じて選びましょう。
マイクの指向性
マイクには音声を拾う方向性(指向性)があり、これも重要な選定ポイントです。指向性は、マイクがどの範囲の音を拾うかを示しており、使用シーンによって最適なタイプが異なります。
単一指向性マイク
単一指向性マイクは、特定の方向からの音を集中して拾います。個人で使用する場合や、マイクの正面に座って話すシチュエーションでは、余計なノイズを拾わず、自分の声だけをしっかりキャッチしてくれるので適しています。
無指向性マイク
無指向性マイクは、360度全方向の音を拾うことができ、複数人が参加する会議に最適です。テーブルを囲んで会話する場合や、広い会議室での使用に適しており、どこに座っていても声がマイクに届きます。グループ会議用としては、無指向性のモデルがベストです。
音質向上機能
さらにWEB会議で重要なポイントは、クリアで聴きやすい音声です。そのため、マイクスピーカーに搭載されている音質向上機能もチェックしましょう。以下の2つの機能があると、会議の音質が大幅に改善されます。
ノイズキャンセリング
会議中の周囲の雑音を減らし、マイクが自分の声だけを拾うようにする機能です。
オフィスや自宅など、雑音が多い環境での使用には必須機能です。特にカフェや共有オフィスなど雑音が発生しやすい場所で会議を行う場合、ノイズキャンセリング機能が搭載された製品を選ぶことで、クリアな会話が可能になります。
エコーキャンセリング
エコーキャンセリングは、自分の声がスピーカーから出て再度マイクに拾われる「エコー」を抑える機能です。
音がこもったり反響したりすることがなく、自然な会話を維持するためには欠かせません。エコーが少ない環境であれば、会話のテンポが落ちることもなく、ストレスのない会議が実現します。
バッテリーの連続稼働時間
無線接続のマイクスピーカーを選ぶ際に重要になるのが、バッテリーの連続稼働時間です。
特に長時間の会議が多い場合、バッテリーの持ち時間が短いと途中で電源が切れてしまい、重要な会話が途切れるリスクがあります。一般的に、8〜12時間の連続使用が可能な製品が多いですが、頻繁に長時間会議を行う場合は、より長時間稼働できるものを選ぶと安心です。
また、バッテリーの充電時間や、急速充電に対応しているかもチェックしておくと良いでしょう。急速充電機能があれば、短時間で再び使用できる状態に戻すことが可能です。出張などで外出先で使用する際には、この点も確認しておくと便利です。
おすすめのWEB会議用マイクスピーカー
YAMAHA 音声会議システム YVC-1000
https://sound-solution.yamaha.com/products/uc/yvc-1000/spec#tab
この製品は音声をクリアに自動調節してくれる機能が充実しており、高音質で自然な音声会議を実現します。
YVC-1000の最大の特徴は、フレキシブルな接続性です。
- PCベースのWEB会議ならUSB
- スマートフォンやタブレットならBluetooth
- ビデオ会議にはオーディオ端子
といった具合に、様々なスタイルの会議に適応できるような仕様になっています。
また拡張性にも優れており、円盤型のマイク同士をLANケーブルで接続するだけで増設できます。
さらに外部スピーカーを接続することもできるので、大小様々な規模の会議に対応できます。
対応人数 | 8~30人 |
接続性 | USB / LAN / Bluetooth / RCA |
信号処理 | 適応型エコーキャンセラー ノイズリダクション マイク自動追尾、 オートゲインコントロール オートルームEQ 残響抑圧 自動音響調整 |
対応OS | Windows 11 Windows 10(32bit/64bit) Windows 8.1(32bit/64bit) macOS 12 macOS 11 macOS 10.15, USB:USB 2.0以降 |
販売価格 | ¥132,000(メーカー希望価格) |
Logicool MEET UP
LogicoolのMEET UPは、マイクスピーカーに加えてWEBカメラも一体となった便利なデバイスです。
ディスプレイモニターの上辺か下辺に設置するような設計となっており、会議室の内装を損なわないスタイリッシュなデザインも魅力的です。
Logicool社は「RIGHTSENSE」というビデオ会議のクオリティ向上を自動化するテクノロジーを独自に開発しています。音響をつかさどる「RIGHTSOUND」は、人間の声に対して最適化されており、不要なノイズを軽減し、スピーカ―にリアルタイムで焦点を定めて、言葉を非常に明瞭に伝えます。小さい声は大きく、大きい声は小さくしてくれる優れものです。
また、カメラの自動調整も非常に高精度です。
対応人数 | 4~6人 拡張マイク接続で最大8人 |
接続性 | USB / Bluetooth |
信号処理 | ノイズ抑制 エコー キャンセレーション 大きい声と小さい声の自動平滑化 |
対応OS | Windows® 7 Windows 8.1 Windows 10 macOS 10.10以降 USB:USB 2.0 |
販売価格 | ¥89,780~ |
大人数の会議にはプロ仕様の音声会議システムがおすすめ
これまで10人未満の少人数の会議に向けたマイクスピーカーを紹介しましたが、
10~数十人規模の会議になると、その規模に見合う本格的な音響システムの構築が必要になります。
人数分のハンドマイクとスタンドマイクを用意して、一本一本配線してミキサーに入れて…というシステムも可能ですが、やはり大変な手間と技術と費用が必要です。
そこでおすすめなのが、会議用に最適化された音声会議システムです。
配線がシンプルで、実際に使用する人にも分かりやすい操作方法ながら、議会や国際会議などでも使用されるほど信頼されている機材です。
細身のマイクをケーブルで数珠繋ぎにし、親機に接続する構成のものが一般的です。
おすすめの音声会議システム ausdio-technica ATUC-50CU
https://www.audio-technica.co.jp/proaudio/product/ATUC-50CU
会議システムのおすすめメーカーとして真っ先に挙がるのがオーディオテクニカ社。そのベースモデルであるATUC-50は、最大100台のマイクユニットを制御することができます。
1本1本のマイクをスピーカー内蔵の台座に取り付け、LANケーブルで数珠繋ぎにしていくだけで簡単に設置できる手軽さから、貸会議室などでも重宝されています。
親機から音声を外部音響に送ることができるので、大型スピーカーや会場に常設している音響システムから出力することも可能です。
さらに、通訳システムやWEB制御のためのハブへの接続にも対応しています。
対応人数 | 最大100人 |
接続性 | LAN |
信号処理 | |
販売価格 | オープン価格 |
まとめ
今回は会議マイクスピーカーとはどのような機材なのかと、おすすめモデルを紹介しました。
会議マイクの利点はやはりシステム構成がシンプルであることでしょう。設置が簡単、省スペース、見た目も本格的で、会議に集中できる環境づくりに大きく貢献します。
今後会社のオフィス環境の整備に取り組もうと考えている方は、音響システムの力で仕事を効率化することも検討してみてはいかがでしょうか!
AZAのAVシステム販売は、実際に会場を下見させていただき、丁寧なヒアリングを行うことで、最適な音響機材を選定いたします。また、納入した機材の設置、設定、保守までワンストップでご対応させていただきます。
また、今回紹介した機材の一部はレンタルでお試しいただくこともできます!