映像システム構築の要!スイッチャーとは?役割と使用方法を解説

配信スタジオ等の本格的な映像システムを構築する場合、必ず耳にする機材「スイッチャー」。

AVシステムに詳しくない方にとっては、あまり馴染みのない機材ではないでしょうか?

スイッチャーとは端的に言えば、複数の映像を切り替えることで、演出を加える映像機材です。

今回はそんなスイッチャーの役割や、どのように使うのか、代表的なメーカーとモデルを解説します。

スイッチャーの役割(何ができるのか)

ライブ配信コンテンツを観たことがある方なら、何となくこんな流れがイメージできるのではないでしょうか?

  1. 「まもなく開始します。しばらくお待ちください。」
  2. オープニングムービー
  3. カメラの映像に切り替わる
  4. プレゼン資料とプレゼンターのワイプ映像
  5. 「ご視聴ありがとうございました。」

これらの流れは、画像、動画、カメラ映像等様々なフォーマットの信号で構成されています。

それらをスイッチャーに集めて切り替えを行い、映像コンテンツに演出や流れを加える役割を果たしているのがスイッチャーというわけです。

では具体的な機能についてひとつひとつ説明していきます。

スイッチング

出力する映像を切り替える機能です。

見せたい映像の切り替えをボタンのワンタッチで行うことができます。

モデルによっては「Tバー」と呼ばれる物理操作子が付いており、映像が徐々に切り替わる「フェード」という表現が可能です。

またスイッチャーには同期信号という映像の送信と表示を同期させる信号があるため、ノイズを発生さえることなく瞬時に切り替えることができます。

エフェクト

映像から映像への遷移のことを、専門用語で「トランジション」と言います。

スイッチャーにはこのトランジションに演出を加えるエフェクトが多数内蔵されています。

先述の「フェード」もそのひとつと言えるでしょう。

PinP(ピクチャーインピクチャー)

異なる映像を重ね合わせる表現技法です。

例えばプレゼン資料の上に、カメラで撮影しているプレゼンターの映像を載せることで、テレビ番組等でもよく見るワイプ映像のような表現ができます。

配信に便利なライブスイッチャー

ライブ配信を行う場合、スイッチャーから出力する映像を、キャプチャーデバイスというさらに別の機材を経由してパソコンに取り込む必要があります。

ライブ配信が盛んになった近年では、このキャプチャーデバイスの機能を内包し、さらに音声を調整する機能まで盛り込まれた「ライブスイッチャー」と呼ばれる機材が出てきました。

操作にはもちろん知識と経験が必要ですが、配信オペレーションが実質的に一人で可能になります。

スイッチャーの接続例

スイッチャーの接続の考え方は非常にシンプルです。

先述のライブスイッチャーが最もシンプルで、カメラやパソコン等の映像ソース、マイクやCDプレーヤーなどの音声ソースをスイッチャーに集約します。

スイッチャーで映像と音声を調節したものは、USB接続している配信PCに送信します。

接続できるソースの数はスイッチャーによって違うので、スイッチャーを選ぶ際は入力数と対応している接続端子を必ず確認しましょう。

おすすめのライブスイッチャー

Roland HDAV Mixer VR-4HD

数多くのビデオスイッチャーをラインナップしているRoland社。

そんな同社のVR-4HDは、AV(Audio / Visual)ミキサーという名前の通り、ビデオスイッチャーとオーディオミキサーがひとつになったモデルです。

スイッチャー部は様々な映像ソースに対応する計6つの入力を装備している他、テロップ合成等に役立つDSK、PinP、画面4分割等様々な表現が可能となっています。

ミキサー部はXLR/フォン、RCA、ステレオミニピン入力に対応しており、EQやディレイ等の音声エフェクトが付属している他、複数の音声レベルを自動で調節してくれるオートミキシング機能が付いています。

これだけの機能がありながら、コンパクトサイズなのも魅力です。

Blackmagicdesign ATEM Mini シリーズ

Blackmagicdesign社はカメラ、スイッチャー、モニター、コンバーターまで映像周りの機材を包括的に製造しているメーカーです。また、エントリーモデルから放送仕様まで豊富にラインナップしています。

ATEM MiniはそんなBlackmagicdesign社の代表機種のひとつで、配信機材といえばATEM Miniという評判もあります。

コンパクトなボディに複数の映像入力、キャプチャーデバイス、オーディオミキサーの機能を内包しています。

ただし本体に液晶パネルがありません。変わりにATEM Software Controlというソフトをパソコンで操作することで細かい設定や調整を行っていきます。

ハードウェアスイッチャーとしては比較的安価なため、初めて配信機材を取り揃える方にも人気です。

大規模システム用の上級モデル

Roland Streaming Video Switcher V-160HD

Roland社がニュースタンダードと謳うスイッチャーです。

コロナパンデミックが一応の落ち着きを見せたころ、イベント業界で急増したのがハイブリッドイベントと呼ばれる、有観客と配信を同時開催する形態です。

会場スクリーンへの出力と配信を同時に行うハイブリッド現場では、接続が煩雑になりやすく、多くのリソースを割きます。そんな業界のニーズに応えるべく開発されたのがこのV-160HDです。

配信PCへのUSB出力はもちろん、HDMI / SDIでのフルHD出力も備えています。

合成可能な映像数は8レイヤー(映像や画像を重ねることをレイヤーと言います)、PinPやクロマキー合成にも対応しています。

さらにPTZという遠隔操作カメラの制御機能も搭載しており、まさにオールインワンと言えるモデルです。

Blackmagicdesign ATEM Television Studio Pro 4K

ATEM Television Studio Pro 4Kは、Blackmagicdsign社が放送レベルの配信を扱うプロに向けて設計したスイッチャーです。

プロユースを想定しているので、映像入出力はほぼSDIとなっているため、720p、1080i、1080p、2160p60を含む、あらゆる映像フォーマットの機器を接続することができます。

オーディオ制御、PC接続ももちろん内蔵しており、トランジションエフェクトやキー抜き等の演出機能も放送品質と評されています。

ブライドイベント、会議、ネット放送、スポーツ配信、ゲーム配信等様々なシーンでの活用事例があります。

まとめ

今回はスイッチャーについて解説とおすすめ機種を紹介しました。

視聴者の目を引く配信には、相応のクオリティが必須となります。

そのためにスイッチャーは映像システムに欠かせない機材の1つと言えるでしょう。

とはいえスイッチャーは種類もランクも非常に多いため、選ぶのが難しい機材です。

AZAのシステム販売サービスでは、お客様の使用用途をお伺いし、実際に現場を下見させていただくことで、ベストな機材を選定いたします。

また納入後の設置や接続・調整までサポートさせていただきますので、お気軽にご相談ください。

 

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