一からわかる屋外用デジタルサイネージ

屋外用デジタルサイネージは、店舗の宣伝や情報提供に欠かせないツールとなっています。耐久性や視認性を備えたこれらのディスプレイは、あらゆる天候に対応し、日中でも鮮明な表示が可能です。

さまざまな情報を提供するために、いざ屋外用デジタルサイネージの導入を検討する際、どのような種類があるのか、どのように選べばよいのか、悩まれている方も多いのではないでしょうか?

そこで本記事では、屋外用デジタルサイネージの種類や選び方を解説し、最適な製品を見つけるためのポイントを紹介します。ぜひ屋外用デジタルサイネージ導入の際の参考にしてください。

1.デジタルサイネージとは

デジタルサイネージは、電子ディスプレイを使用して情報や広告を表示する装置です。

一般的に、店舗や商業施設、公共施設、交通機関など、さまざまな場所で利用されており、ポスターや看板などの従来の静的な広告媒体と比べて、よりインタラクティブで動的なコンテンツを表示できる点が特徴です。

特に屋外用デジタルサイネージは、風雨や太陽光にさらされることから、高い耐久性や視認性が求められます。そのため、過酷な屋外環境でもクリアに情報を伝えることができるように、より強力な防水・防塵性、高輝度、反射防止機能などが求められます。

現在の広告や案内表示では、デジタルサイネージの導入が急速に広がっており、特に屋外での利用はその効果が顕著です。

デジタルサイネージの利用目的

デジタルサイネージの利用目的は、広告や案内、エンターテインメント、さらにはインタラクティブなユーザー体験を提供するなど、多岐にわたります。

特に屋外では、次のような用途が考えられます。

広告表示
店舗の前に設置して商品のプロモーションを行うために利用されます。静止画のみでなく動画やスライドショーも用いることで、通行人に対して強い視覚的な訴求が可能です。

案内情報の提供
観光地や公共施設で、マップや施設情報を表示するために利用されます。タッチパネル対応であれば、ユーザーが自由に情報を操作でき、より深い情報提供が可能です。

イベントや緊急情報の発信
特定のイベントや緊急時に、素早く情報を広めるために利用されます。デジタルサイネージならばリアルタイムでの情報更新が容易で、必要な情報を瞬時に表示可能です。

デジタルサイネージのメリット・デメリット

デジタルサイネージを導入することには多くのメリットがありますが、一方でいくつかのデメリットも考慮する必要があります。

映像やアニメーション、テキストのスクロール表示など、視覚的に強い訴求力を持ち、見る人の注意を引きやすくなります。

オンラインで遠隔操作が可能なため、複数のディスプレイに同時に新しいコンテンツを配信することができます。

これにより、広告内容や情報提供のタイムリーな更新が容易です。

ディスプレイ自体は壁掛け式やスタンド型など、設置方法に応じて柔軟に使えます。限られたスペースを有効活用しつつ、最大限の情報を提供できるのが魅力です。

デジタルサイネージの購入費用、設置費用、さらには必要なソフトウェアやサーバー管理費用など、初期導入コストが高額になりがちです。

屋外用のデジタルサイネージは特に高輝度のものほど電力消費が大きく、ランニングコストも考慮する必要があります。

屋外に設置された場合、風雨や太陽光に長時間さらされるため、定期的なメンテナンスが必要です。防水・防塵性能が高くても、長期間の使用によって劣化する可能性があります。

2.屋外向けデジタルサイネージの種類

屋外で使用するデジタルサイネージにはさまざまな種類があり、それぞれの用途や設置環境に応じて選ぶことが重要です。

ここでは、代表的な屋外向けデジタルサイネージの種類について紹介します。

タッチパネル式屋外設置デジタルサイネージ

Hands touching a cyber space table screen

タッチパネル式のデジタルサイネージはインタラクティブな操作を可能にし、利用者は画面に触れて情報を取得可能です。

例えば、ショッピングモールの案内板や、観光地の地図表示、交通機関の時刻表などに使用され、利用者が自分に必要な情報を探し出すのに役立ちます。

屋外用の場合、防水タッチパネルが搭載されているため、雨天時でも問題なく使用可能です。

オープンスペース向け屋外デジタルサイネージ

公共スペースやイベント会場などで使用されるデジタルサイネージは、特に多くの人々の目に留まるように大画面のディスプレイが求められます。

これらは通常遠くからでも見えるように設計されており、特に高輝度のディスプレイを採用しています。

屋外イベントやフェスティバルで広告やイベント情報を表示するのに最適です。

広告看板用超大型屋外デジタルサイネージ

街頭に設置される大型のビルボード型デジタルサイネージは、特に交通量の多い場所や繁華街での広告表示に効果的です。

歩行者や車両からも目立つように設計されており、広告主にとっては一度に多くの人々にアピールできる強力なツールとなります。

一般的に夜間でも鮮やかに表示されるよう、高輝度のLEDディスプレイが使われています。

屋外向け屋内設置デジタルサイネージ

屋内設置型のデジタルサイネージを屋外向けに使用する場合、ショーウィンドウの内側に設置され、外からでも高い視認性を持たせることができます。

このタイプのディスプレイは、直接屋外の環境に晒されることがないため、コストを抑えつつ効果的な広告や案内を提供する手段として人気があり、設置場所の外観デザインを損なわずに情報提供が可能です。

3.屋内用と屋外用デジタルサイネージの違い

屋内用と屋外用のデジタルサイネージは、その設計や機能に大きな違いがあります。

以下が屋内用と屋外用のデジタルサイネージの主な相違点です。

・耐久性と防水・防塵性能
・輝度(明るさ)
・温度管理
・視野角と反射防止
・設置方法

特に屋外で使用する場合には、耐久性や視認性に関わる要素が重要となります。

耐久性と防水・防塵性能

屋外の環境では風雨や埃にさらされるため、防水・防塵性能は欠かせません。

IP65やIP66といった防水・防塵性能を持つデジタルサイネージは、極端な天候でも安全に使用できるよう設計されています。

特に雨の多い地域や砂埃が舞う環境では、高い防塵・防水性能が重要です。

輝度(明るさ)

屋外では太陽光が直接当たるため、視認性を確保するために高輝度が必要です。

一般的な屋外用デジタルサイネージは、1500〜3000ニット以上の輝度を持ち、直射日光下でも鮮明な映像を表示することができます。

輝度が低いと日中の表示が見えにくくなり、広告効果が大幅に低下してしまいます。

温度管理

屋外の環境は季節や時間帯によって温度の変化が激しいため、温度管理システムが必要です。

極端な暑さや寒さにも耐えられるよう、ディスプレイ内部には冷却ファンやヒーターが組み込まれており、過熱や結露を防ぎます。

視野角と反射防止

屋外ではさまざまな角度からディスプレイを確認することが多いため、視野角が広く、反射防止機能を備えたディスプレイが求められます。

特に反射防止コーティングが施されたスクリーンは、日光が当たっても画面が見やすく、クリアな映像を提供します。

設置方法

屋外にデジタルサイネージを設置する場合、強風や地震などの自然災害に耐えるために、しっかりとした基礎工事が必要です。

設置場所によっては、地面に深く固定する工事や特殊な支柱を用いるなど、安全性を確保するための工夫が必要です。

またデジタルサイネージの設置許可が必要な場合もあるため、事前に確認しましょう。

4.屋外用デジタルサイネージの選び方

屋外用デジタルサイネージを選ぶ際には、設置場所や用途に応じて最適な機能や性能を持つ製品を選ぶことが重要です。

以下が屋外用デジタルサイネージを選ぶ際に。着目すべきポイントです。

・防水・防塵性能
・輝度(明るさ)
・耐候性と温度管理
・反射防止機能
・サイズと解像度
・設置環境と設置方法
・接続性とコンテンツ管理
・防犯対策
・消費電力

防水・防塵性能

屋外にデジタルサイネージを設置する場合、防水・防塵性能は最も重要な要素の一つです。

IP規格で防水・防塵性能を確認し、IP65以上の製品を選ぶことが推奨されます。特に雨量が多い地域や砂埃が発生しやすい環境では、IP66の防水・防塵性能を持つサイネージが理想的です。

IP規格に加えて、防塵フィルターや排水システムの有無も確認することで、長期にわたる安定稼働が見込めます。特に商業施設や駅前広場のような人の集まる場所では、耐久性が高く、メンテナンスの頻度が少ない製品を選ぶことが重要です。

輝度(明るさ)

屋外にデジタルサイネージを設置する場合は昼間に直射日光が当たることが多く、高輝度のディスプレイが不可欠です。

通常1500〜3000ニットの輝度が推奨され、設置場所や用途に応じて適切な明るさを選ぶ必要があります。輝度が低いと日中は画面が見えにくくなり、広告効果や案内表示の視認性が大幅に低下します。

また周囲の明るさに応じて自動的に輝度を調整できる機能を持つディスプレイを選ぶと、昼夜を問わずクリアな表示が可能です。さらに輝度調整機能を持つ製品は、エネルギー効率の向上にもつながります。

耐候性と温度管理

屋外のデジタルサイネージは、夏の暑さや冬の寒さなど、極端な温度変化にも耐えられる設計が必要です。

特に夏場の直射日光による過熱を防ぐために、冷却ファンや空調システムを内蔵した製品を選ぶと良いでしょう。一方寒冷地では、低温環境での動作が保証されたヒーター内蔵型の製品もあります。過酷な温度変化に対応するために耐候性が高く、長期的に安定稼働できる温度管理機能があるかどうかは重要なポイントです。

またディスプレイの外装が紫外線による劣化を防ぐUV加工が施されているかも確認しましょう。

反射防止機能

屋外では太陽光や照明の反射が視認性を妨げる場合が多いため、反射防止機能が重要です。

反射防止コーティングが施されたスクリーンを選ぶことで、直射日光下でも画面が見やすくなり、情報の伝達効果が高まります。特に駅前や商業施設の広場など、さまざまな角度から画面を確認する必要がある場所では、視野角の広さと反射防止機能の組み合わせが重要です。これにより、ディスプレイがどの位置からでも鮮明に見えるようになります。

サイズと解像度

デジタルサイネージのサイズは、設置場所の広さや視認距離に応じて選定することが必要です。

特に広いスペースに設置する場合は、大型のディスプレイで視認性を確保する必要があります。目安としては、32〜75インチが一般的な屋外デジタルサイネージのサイズです。

視認距離が遠くなるほど大きな画面が必要であり、同時に高解像度である必要があります。4KやフルHDの解像度を持つディスプレイは、特に詳細な画像やテキストが要求される場合に最適です。解像度が低いと遠くから見ると文字や映像がぼやけてしまって情報が伝わりにくくなるため、設置場所に応じた適切な解像度を選びましょう。

設置環境と設置方法

屋外にデジタルサイネージを設置する場合、設置する環境に適した設置方法を選ぶことも重要です。

風雨にさらされやすい場所や強風が吹く地域では、強固な支柱やコンクリート基礎を使った設置が必要となる場合があります。

さらに公共の場所に設置する場合、現地の条例などによって設置が必要なケースもあるため、事前に確認しましょう。

設置場所の安全性を確保するため、専門業者に依頼して基礎工事や電源の確保、ネットワーク接続などを適切に行うことが推奨されます。

接続性とコンテンツ管理

屋外のデジタルサイネージは、ネットワークを介して遠隔操作が可能な接続性が重要です。

Wi-FiやLAN、4G/5Gなどのネットワークに対応している製品を選ぶことで、コンテンツの更新や管理がスムーズに行えます。特に複数のディスプレイを一括して管理する場合や、広告内容を頻繁に更新する場合には、クラウドベースの管理システムが役立ちます。

またコンテンツの再生スケジュール機能がある製品であれば、特定の時間に合わせた表示も可能です。

こうした機能を活用することで運用効率を高めつつ、的確な情報発信を実現できます。

防犯対策

屋外に設置するデジタルサイネージは、盗難や破壊行為に備えた防犯対策が必要です。

防犯用の施錠機能や耐衝撃性のある筐体を選ぶことが推奨されます。特に商業施設や公共の場に設置される場合は、破壊行為を防止するための監視カメラの設置や警報システムとの連携も考慮しましょう。

またデジタルサイネージ自体に遠隔監視機能を持たせることで、異常があった際には即座に対応できるようにしておくと安心です。

消費電力

デジタルサイネージの消費電力は、長期間にわたる運用コストに直接影響します。

省エネ設計のデジタルサイネージを選ぶことで、ランニングコストを削減できるだけでなく、環境にも配慮した運用が可能です。例えば自動輝度調整機能やエコモードを備えた製品は、夜間や人通りの少ない時間帯には輝度を下げ、消費電力を節約します。

また太陽光パネルを利用した電力供給システムを導入することで、電力コストの大幅な削減が可能です。

5.屋外デジタルサイネージ機材例

ここでは、具体的な屋外用デジタルサイネージの機材例を紹介します。

特徴や主なスペックについて紹介しますので、屋外デジタルサイネージ導入の参考にしてください。

Panasonic XF1Hシリーズ

XF1Hシリーズ – 業務用ディスプレイ – パナソニック コネクト (panasonic.com)

おすすめポイント

・高輝度・広視野角パネル採用による優れた視認性

・独自のヒートシンク採用冷却システムで直射日光下でも安定運用

・前面には強化ガラスを採用し、保護カバーなしでも使用可能

Panasonic XF1Hシリーズは、高い防塵・防水性能と、高い視認性を発揮できる高輝度を兼ね備えた屋外デジタルサイネージです。

高輝度(2200cd/m2)と広視野角(178°)のパネルを採用したことにより、優れた視認性を実現しています。外光に応じて画面の明るさを3段階の調整レベルで自動調整可能です。

また、独自のヒートシンク採用の冷却システムにより、液晶パネルの温度上昇を抑えてブラックアウト現象やフィルムの変形を未然に防止します。

さらに前面には強化ガラスを採用し、保護カバーなしでも使用できる堅牢性を実現しています。

ディスプレイサイズ49v型(1232 mm)
輝度2200 cd/m²
解像度1920 x 1080
防水・防塵性能IP56
動作温度範囲0℃~50℃(アウトドアモード時:‒20℃~50℃)(海抜1400 m未満) 0℃ ~ 45℃(アウトドアモード時:‒20℃~45℃)(海抜1400 m以上2800 m未満)
視野角178°/178°
コントラスト比1300:1
応答速度8.0 ms(G to G)
接続性HDMITYPE A コネクター × 1 DVI-D 24ピン × 1 ミニD-sub 15ピン × 1 (DDC2B対応) USB TYPE Aコネクター x 1(DC 5 V/1 A) D-sub 9ピン×1、RS-232C準拠 RJ45 ネットワーク接続用、PJLink™対応×1、通信方式: RJ45 100BASE-TX、ロングリーチモード対応
消費電力382 W
設置条件設置方向:横/縦 設置角度:前傾/後傾0°~20°

NEC Q2シリーズ

屋外用 スクエア型ファインピッチLEDディスプレイ(Q2シリーズ) | NEC

おすすめポイント

・シームレスな大画面マルチスクリーンを構成可能

・高輝度、高コントラスト表示

・外光の反射を抑えるシェダー(ひさし)を装備

NEC Q2シリーズ は、さまざまな大画面サイズのサイネージに応えるスクエア型の高輝度ファインピッチLEDディスプレイです。

用途や設置場所に応じて、シームレスな大画面マルチスクリーンを自由に構成可能です。

また、LEDの画素構成を3-in-1 SMDタイプとすることで、高視認性、広視野角を実現してい、高輝度(4000cd/m2)、高コントラスト(7000:1)表示で、外光に照らされる屋外でも明るくメリハリのある映像を映し出します。紫外線によるLED素子の劣化低減と外光の反射を抑えるため、シェダー(ひさし)を装備しているのも特長の1つです。

さらに、温度変化の大きい環境(動作環境温度:-30~50℃)にも対応し、高い耐久性を実現しています。

ディスプレイサイズ500×500×70mm
輝度4,000cd/m²
解像度(ピクセル)176×176
防水・防塵性能IP65
動作温度範囲-30~50℃
視野角140°/120°(左右/上下)
コントラスト比7,000 : 1
消費電力180W

LG XE4Fシリーズ

XE4F シリーズ – 49XE4F-M | LG JP

おすすめポイント

・スリム&耐久性を兼ね備えたデザイン

・高輝度・広視野角の確かな視認性

・屋外での使用に対する高耐久性

LG XE4Fシリーズ は、優れた視認性を備えたスリムなデザインのデジタルサイネージです。

軽量でスリムなデザインながら、保護ガラスを装備して、かつIP56規格に対応した耐久性が特長の1つです。

また、4000cd/m2の高輝度に178°の広視野角を兼ね揃えており、直射日光下でも、上下左右あらゆる角度から見ても、抜群の視認性を発揮します。さらにFPR(Film Patterned Retarder)方式を利用したQWP(1/4波長板、Quarter Wave Plate)を採用しており、サングラス(偏光式)を着用していても美しい映像を見ることができます。

さらに、メンテナンス面の負荷を低減してくれるWebモニタリングが可能で、ユニットの監視、調整を遠隔からリアルタイムに制御可能な点はうれしいポイントです。

ディスプレイサイズ49インチ
輝度4000cd/m2
解像度1920 x 1080 (FHD)
防水・防塵性能IP56
動作温度範囲-30~50℃
視野角178º x 178º
コントラスト比1300:1
応答速度8ms (G to G)
接続性USB2.0 Type A(2 個) DP In (HDCP 2.2) HDMI In (2 個) RS232C In/Out RJ45(LAN)In (2 個、LAN 1 個/ HDbaseT 1 個)
消費電力380W

6.まとめ

屋外用デジタルサイネージは、広告効果を最大化するために、耐久性や高輝度、設置環境に適した性能が求められます。設置場所の特性や使用目的に応じて最適なサイネージを選ぶことで、より効果的な情報発信が可能になります。

またメンテナンスやランニングコストも考慮しながら、長期的に運用可能な製品を選ぶことが成功のカギです。

屋外用デジタルサイネージ導入の際には、導入効果を最大化できるよう、ぜひこの記事の内容を参考にしてください。