オーディオ初心者が知っておきたい音の基本!周波数とはどういうもの?

オーディオ機器は、音を楽しむために欠かせないものです。オーディオ設計などを行う音響のプロは、より良い音を届けるために日々様々な努力をしています。自分も音響について知りたいと考えている人もいるでしょう。音を扱いオーディオ設計に触れたいのであれば、まず音についてしっかり理解しておく必要があります。今回は音の基本となる周波数について詳しく解説していきます。   

1.音とはそもそもどのようなもの?       

音というのは、振動が空気などを媒介して伝わるものです。振動が速ければ速いほど高い音、遅ければ遅いほど低い音として伝わるのですが、1秒間に空気が何回振動したかを表すのが周波数です。周波数の単位は「Hz(ヘルツ)」となります。

音が媒介するのは空気だけではありません。金属や水など、様々なものを通して音は伝わります。例えばオーディオ機器とイヤホンをケーブルで繋げると、イヤホンから音が聞こえるようになりますが、これは電気に変換された音の振動が、イヤホン内部のコイルを振動させることで耳に伝わっているからです。音の振動を電気信号に変換しケーブルで伝え、それを人間の耳に届く前に音の振動に戻すことで、音が聞こえるという仕組みです。

周波数には音声周波数というものがあります。電話やボイスチャットなど、音声を伝送する時に使われる周波数の幅が音声周波数です。電話はもともとは、300Hz~3400Hzの音声周波数帯域が使われていました。しかし、技術が進化しVoLTEは50Hz~7000Hz、VoLTE(HD+)は50Hz~14.4kHzというように、使用される音声周波数帯域の幅は広がっています。音声周波数帯域の幅が広いということは、自然に近い声が届くということです。Web会議などをしていて相手の声が聞き取りにくい時は、音声周波数帯域の幅が広い通話手段に変更すると改善する可能性があります。

2.音にはどのような特徴がある?        

#音は振動の速さや大きさで変わる

振動が空気などを伝わって耳に届くのが音ですが、振動の速さや大きさで聞こえ方が変わるという特徴があります。先ほども触れましたが、音の高さを決めるのが振動の速さです。

1秒間に振動した回数を表す「Hz」の数字が大きくなれば高い音、小さくなれば低い音ということになります。オーディオ機器に「イコライザー」という機能が備わっていることがありますが、これは周波数帯域ごとの音量を自由に変更できる機能です。

100Hzなど小さな周波数帯域を上げれば低い音が目立ち、20kHzなど高い周波数帯域を上げれば高い音が大きくなります。音の大きさは振動の幅で決まります。振動の幅を「振幅」というのですが、振幅が大きくなるほど耳に聞こえる音も大きくなっていきます。

#音は主に3つの種類がある

音は、大きく分けると「純音」「楽音」「噪音」の3種類あります。純音は1つの周波数のみで構成される音です。普段人間が聞いている音は、様々な周波数が混じり合っています。しかし、純音は1つの周波数しかないため、機械的な音に感じます。ラジオで流れる時報が、純音に近い音になります。

楽音は、音程を感じられる音のことです。ピアノやギターなどの楽器の音、人間の歌声などが楽音になります。噪音ははっきりと音程を感じられない音で、車の騒音や家電から発せられる動作音などのことを言います。

#可聴周波数帯域とは?

可聴周波数帯域は、人間が聞き取れる音のことで、特定の周波数帯域を表します。一般的には20Hz~20,000Hzの間が人間が聞き取れる音、すなわち可聴周波数帯域と言われています。しかし、人間は年齢を重ねるにつれて聞き取れる周波数帯域が狭くなっていくため、実際は20Hz~20,000Hzよりも狭くなります。

3.オーディオの設計や設定をする時に注意すべきこと!   

#周波数帯域ごとの性質を理解しておく

オーディオ設計をする上で重要になるのが、周波数帯域ごとの性質を理解しておくということです。周波数は帯域ごとに以下のような性質を持っています。

16~60Hz 超低域

60~250Hz 低域

250Hz~500Hz 低中音域

500Hz~2kHz 中音域

2kHz~4kHz 中高音域

4kHz~6kHz 高音域

6kHz~20kHz 超高音域

超低域はチューバやベースなどの低音楽器が発する音、低域は通常の会話音域、高音域はバイオリンやピッコロなどの高調波というように、楽器や音によってメインとなる周波数帯域が変わります。そのため、オーディオ設計をする時や最適なリスニング環境を整えるためには、周波数帯域ごとの音の性質をしっかり理解しておくことが必要になるのです。

#位相にも注意が必要

位相は、オーディオ機器などにおいて、入力された信号と出力される信号の時間軸がズレてしまうことです。入力した波形はそのまま出力されるのが理想ですが、実際は波形がズレてしまうことが多々あります。ケーブルやコンデンサ、コイルなど様々な要因によって位相のズレは起こります。位相がズレると音質や定位の変化が起こるため、「音が悪い」「不自然」と感じてしまいます。より良い音、聞きやすい音にするためにも、位相には注意しなければなりません。

音の性質についてしっかり理解しておくことが大切!            

普段何気なく聞いている様々な「音」は、実は複雑な性質を持っています。どのようなオーディオ機器を使うかはもちろん、スピーカーまでの距離や環境など、様々な要因によって聞こえ方は変わります。オーディオ設計は、いかに良い音を届けられるかが重要なポイントです。オーディオ設計をするのであれば、まずは周波数など音の基本的な性質についてしっかり理解しておきましょう。